INDIA TAX / QUICK GUIDE

インド税制を、
日本語でわかりやすく。

インドへの進出、インド企業との取引、インドへの赴任に関係する法人税、GST、源泉徴収税、日印租税条約などの基礎を整理しています。

最終確認日

01 / OVERVIEW

インド税制の全体像

まずは税目と年度、識別番号を分けて理解します。

所得

法人・個人所得税

会社の利益や個人の所得に対する中央政府の直接税。非居住者はインド源泉所得やPEの有無が焦点です。

取引

GST

物品・サービスの供給にかかる間接税。中央と州で分かれ、取引地によりCGST・SGST・IGSTを使い分けます。

支払

TDS

支払者が税を控除して納付する源泉徴収。相手が日本企業でも、支払内容により検討が必要です。

輸入

関税

物品の輸入時に基本関税等を検討。輸入時IGSTはGSTの仕入税額控除とつながります。

重要:2026年の制度移行

旧法と新法が、実務上しばらく併存

Assessment Year 2026–27

2026年3月31日までに始まった期間は旧 Income-tax Act, 1961。2026年中の申告も旧法の様式を使います。

Tax Year 2026–27

Income-tax Act, 2025 が適用。Previous Year と Assessment Year に代わり、Tax Year を使用します。

公式資料新法の目的と適用範囲(新しいタブで開く)申告に関するFAQ(新しいタブで開く)

IDENTIFIERS & UNITS

番号と金額単位

PAN
所得税上の恒久口座番号
TAN
TDSの控除・納付者番号
GSTIN
州ごとのGST登録番号
1 lakh
10万ルピー(₹100,000)
1 crore
1,000万ルピー(₹10,000,000)

インドの会計年度・Tax Yearは原則4月1日から翌年3月31日まで。国税に加え、GSTでは州の関与が大きい点も特徴です。

02 / CORPORATE TAX

日本企業の進出形態と法人税

同じ事業でも、進出形態により課税主体とコンプライアンスが変わります。

01

インド現地法人

インド居住法人として全世界所得が課税対象。親子間取引には移転価格、配当や技術料にはTDSも検討します。

02

支店

外国法人のインド拠点。支店に帰属する利益が課税対象となり、国内法人とは税率体系が異なります。

03

プロジェクトオフィス

特定プロジェクトの遂行拠点。契約範囲、現地活動、利益帰属とPEの関係を確認します。

04

リエゾンオフィス

原則として連絡・情報収集等に限定。実際の活動が収益事業に踏み込むと課税リスクが生じます。

05

日本からの直接輸出

販売だけで法人税が当然に発生するわけではありません。現地代理人、在庫、据付・役務の有無からPEを確認します。

税率を見るときの注意

「基本税率」だけでは、実効負担は分かりません

Assessment Year 2026–27(旧法)の参考では、国内会社は要件に応じ25%または30%、一定の選択制度では22%または15%。外国会社の「その他の所得」は35%です。これに Surcharge と、税額+Surcharge に対する Health and Education Cess 4% を加味します。

国内会社通常税率:課税所得が₹1 crore超₹10 crore以下は7%、₹10 crore超は12%(いずれか)。一定の選択制度は10%

外国会社課税所得が₹1 crore超₹10 crore以下は2%、₹10 crore超は5%(いずれか)

共通Health and Education Cess 4%

適用年度に注意

上記は FY 2025–26 に対応する AY 2026–27 の公式案内を要約した参考情報です。Tax Year 2026–27(2026年4月1日以後)は Income-tax Act, 2025 と Finance Act 2026 等に基づき、選択要件・控除・MAT・PE帰属を含めて確認してください。

申告

会社の所得税申告は原則電子申告。AY 2026–27は旧法、TY 2026–27は新法の様式・用語を用います。

予定納税

年度中に見込税額を分割納付します。FY 2026–27の所得に対する予定納税では、納付画面でTax Year 2026–27を正しく選択します。

税務監査

売上等の基準や取引内容により監査報告が必要。AY 2026–27とTY 2026–27では使用フォームも異なります。

公式資料国内会社 AY 2026–27(新しいタブで開く)外国会社 AY 2026–27(新しいタブで開く)税務監査・フォームFAQ(新しいタブで開く)Union Budget 2026–27(新しいタブで開く)

03 / GST

GST — 取引と州を追う税

「何を」「どこからどこへ」「誰が」供給したかで処理を組み立てます。

州内取引CGSTSGST / UTGST中央政府分 + 州・連邦直轄領分
州間取引・輸入IGST州をまたぐ供給や輸入

GST登録

課税対象となる供給を行う拠点がある州・連邦直轄領ごとに登録を検討します。売上基準だけでなく、強制登録や非居住者向け規定も確認します。

Input Tax Credit

事業用の仕入・輸入で負担したGSTを売上税額から控除。請求書、受領、申告反映、期限などの要件があります。

Reverse Charge

指定取引やサービス輸入等で受領者がGSTを納付。現金納付と、その後のITC可否を分けて確認します。

GST Invoice / e-Invoice

GSTIN、供給地、HSN/SAC、税区分等を記載。対象事業者はInvoice Registration Portalへの報告が必要です。

申告・還付

売上明細と月次・四半期申告、仕入データを照合。輸出や税率逆転等の還付は証憑と期限管理が重要です。

輸出取引

輸出はzero-rated supply。LUT等により無税で輸出してITC還付を求める方法など、要件に沿って処理します。

JAPAN → INDIA

コンサルティング、ソフトウェア、SaaS

日本からのオンライン提供でも、サービスの性質、供給者・受領者の所在地、place of supply、事業者向けか消費者向けか、OIDAR該当性、Reverse Chargeを確認します。TDSとGSTは別々に検討してください。

公式資料GST Portal(新しいタブで開く)CBIC GST FAQ(新しいタブで開く)業種別FAQ(新しいタブで開く)

04 / TDS & TREATY

源泉徴収税(TDS)と日印租税条約

請求額と入金額の差は、契約前に設計できることがあります。

1

支払の性質を特定

利息、配当、ロイヤルティ、技術上の役務に対する料金、事業所得など、実態から所得区分を判断します。

2

国内法と条約を比較

適用条件を満たす場合に、日印租税条約が国内法より有利か確認。条約税率を一律に当てはめません。

3

書類と契約を整える

PAN、居住者証明書(TRC)、Form 10F、受益者情報を準備。税負担者を定めるグロスアップ条項も確認します。

4

日本側の控除につなぐ

TDS証明と納税記録を保管し、日本の外国税額控除を検討。控除限度や所得対応を日本側でも確認します。

公式資料TDS Compliance(新しいタブで開く)日印条約へのMLI適用(新しいタブで開く)MLI統合条文(英語PDF)(新しいタブで開く)

05 / EXPATRIATES

インド駐在員の個人所得税

「支払地」より先に、「勤務」と「滞在日数」を確認します。

居住者判定の基本

182日、または 60日+過去4年365日

Tax Year 2026–27の基本テスト。国籍・訪印目的等による例外、通常居住者/非通常居住者の区分、条約上の居住者判定もあるため、日数だけで結論を出しません。

182日と183日は別判定

インド国内法上の居住者判定に用いる182日基準と、日印租税条約第15条の短期滞在者免税における183日以下の要件は別の判定です。短期滞在者免税には、滞在日数のほか、報酬を支払う雇用者の居住地及びインドのPE等が報酬を負担していないことなど、条約上のすべての条件を満たす必要があります。

01

給与の源泉

インド勤務に対応する給与は、日本本社から支払われてもインド課税を検討。会社負担税やネット保証も含めます。

02

現物給与

住宅、自動車、教育費等はperquisite評価の対象になり得ます。会社契約・本人負担・利用実態を記録します。

03

賞与・株式報酬

対象勤務期間と権利確定・行使時点を追跡。複数国勤務では配分が必要になることがあります。

04

PAN・申告

PAN取得、給与TDS、所得税申告を連動。赴任前から口座・投資・国外資産等の資料を整理します。

05

帰任時

最終給与、賞与、株式報酬、銀行口座、申告連絡先と税務証明を確認。申告が帰任後になる場合にも備えます。

06

日本側の処理

外国税額控除と二重課税調整を検討。社会保障協定は年金・保険料の制度であり、所得税条約とは別です。

個人税率について

新税制(default regime)と旧税制の選択、控除・リベート、居住者区分、所得の種類で結果が変わるため、当サイトでは一律の早見表を掲載していません。AY 2026–27とTY 2026–27を分けて公式案内を確認してください。

公式資料非居住者FAQ(新法)(新しいタブで開く)日印租税条約(MLI統合条文)(新しいタブで開く)申告に関するFAQ(新しいタブで開く)

06 / CASES & FAQ

よくある取引事例

結論ではなく、最初に確認する税金と論点を示します。

01

日本からインド企業へ商品を販売する

主に確認する税金

  • PE・法人税
  • 関税・輸入時IGST
  • 契約条件
02

日本からオンラインでサービスを提供する

主に確認する税金

  • GSTの場所判定・OIDAR
  • TDS
  • PE
03

インド企業からコンサルティング料を受け取る

主に確認する税金

  • TDS・租税条約
  • GST
  • PE
04

インド子会社を設立する

主に確認する税金

  • 法人税
  • GST・TDS
  • 移転価格
05

日本人社員をインドへ出向させる

主に確認する税金

  • 個人所得税
  • 給与TDS
  • PE
06

インド子会社から配当を受け取る

主に確認する税金

  • TDS・租税条約
  • 外国税額控除
07

インド企業からロイヤルティを受け取る

主に確認する税金

  • TDS・租税条約
  • GST
  • PEとの関連
08

インドから日本へ代金を送金する

主に確認する税金

  • TDS
  • 送金書類
  • 契約のグロスアップ

FAQ

よくある質問

日本からインドへ商品を売るだけで、インド法人税がかかりますか?

直ちに課税されるとは限りません。インドに恒久的施設(PE)があるか、契約締結・在庫保有・据付や現地代理人の活動がどこで行われるかを確認します。関税、輸入時IGSTに加え、関連会社との取引であれば移転価格も別に検討が必要です。

インド企業からの入金額が請求額より少ないのはなぜですか?

TDSが控除されている可能性があります。送金明細とTDS証明、契約のグロスアップ条項、PAN・居住者証明書・Form 10Fの提出状況、国内法と日印租税条約の所得区分を確認します。

GSTと日本の消費税は同じですか?

仕入税額控除を持つ間接税という共通点はありますが、インドでは州内取引のCGST+SGST、州間取引のIGST、州別登録、e-Invoiceなど独自の仕組みがあります。日本の取扱いをそのまま当てはめられません。

インドに数か月滞在すると、インドで確定申告が必要ですか?

滞在日数だけでなく、インド勤務に対応する給与、居住者区分、源泉徴収、条約上の短期滞在者免税の各条件を確認します。日本払い給与もインド勤務の対価なら検討対象です。

日印租税条約を使えば、必ず源泉税がなくなりますか?

いいえ。所得区分、受益者、居住者証明、PEとの実質的関連、MLIの主要目的テスト(PPT)などで結果が変わり、条約が認めるのは免税ではなく税率上限となる場合もあります。

インドの税務申告を日本の税理士だけで完結できますか?

通常は困難です。インドの登録・電子申告、証明、監査、州別GSTや現地手続にはインド法と実務への対応が必要です。日本側の外国税額控除との整合も含め、日印双方の専門家を連携させます。

07 / OFFICIAL SOURCES

公式資料

制度改正や個別の適用は、必ず一次情報で確認してください。